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2006 年04 月12 日

NHK受信料不払問題

今朝の日経に「NHKの受信料不払いに罰則検討」との記事があった。

 総務省は受信契約の締結義務を受信料の支払義務に置き換え、不払い世帯に罰則を科す案を検討するという。

 受信料の支払義務を「契約に基づく」ものから「法律に基づく」ものにした上で、支払義務の不履行を「契約違反」から「法律上の義務違反」に置き換えることで罰則を科すということだ。
 一般論として言えば、契約違反に対しては民事訴訟を提起してその支払を求めるしかないが、法律上の義務の履行を確保するためであれば罰則を科すことも可能だ。
 しかし、法律で義務を定めれば何でもその履行を確保するために罰則を科することが許されるのか。

 ここで言う「罰則」が行政上の秩序罰である過料を意味するのか、それとも刑事罰としての罰金等を意味するのかが不明だが、刑事罰であれば、果たして刑事罰を科するだけの保護法益があるのかがまず問われなければならない。受信料の本質が公共財である公共電波の使用料だとしても、その本質は使用料、受益者負担金にしかすぎない。使用料、受益者負担金の不払いに対しては、それを強制徴収するのが義務履行確保手段であって、刑事罰を科することは通常選択されない。税金の滞納ですらそれが脱税等でない限り刑事罰を科さないのであるから、受信料ごときで刑事罰を科するのは重きに過ぎる。ましてや、NHKが提供するのは民間放送事業者と異ならない放送であるから、実質的な事業活動を保護するために罰則を科するというのは、そもそも保護法益を欠くのではないか。NHKは放送事業であって公的な事業という意味では自治体の公営企業(市バス等)とその実体は変わらない。公営企業の料金は契約に基づく料金にしかすぎないから、その取り立ては民事訴訟でいくしかない。それ以上の保護を与えるだけの実質があるのか。

 それでは、過料であればどうか。過料は法律で定めればそれで違法となることはないのが普通であるが、行政上の義務の履行確保の手段としては、使用料等金銭債務の徴収であれば、国税徴収法の例による強制徴収が通常であり、その上にさらに過料を課すということは通常行われない。加算税のようなものと考えれば一応の理屈になるのかもしれないが、放送事業の経費が税金と同じだけの価値を有するとは思えない。

投稿者:ゆかわat 23 :11| ビジネス | コメント(0 ) | トラックバック(0 )

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